「宿題」は子どもをダメにする???

宿題は子どもをダメにする?「まじめに宿題をしても効果なし!」

「まじめに宿題をしても効果なし!」という驚きの研究結果が!というタイトルの情報がインターネット上に掲載されていました。ムムム…当学館と正反対の記事が?どうもSNS上やYouTube上ではインパクトを狙った大げさで、奇をてらったタイトルをつけ、視聴者の興味を引こうとする傾向にあります。

この記事は数学や算数好きな子育てを薦める本やタブレット教育のアピール本の宣伝でした。そして、案の定、アメリカの〇×大学の研究調査によると…「宿題は小学生レベルでは何の効果もない」ことが証明され、逆に宿題を出すことが子どもに悪影響がある。とまで言っていました。???さらに、こんな内容で追い打ちをかけます。「学校に通い始めたばかりの子どもたちは、学ぶことが好きになるチャンスがあったはずです。しかし、担任の教師から強制される宿題は、多くの子どもを憂うつにさせ、最終的に子どもの学びそのものが嫌いになってしまうのです。宿題がなくても、子どもたちは毎日学校に通い、5時間、場合によっては6時間も授業漬けなのです。学校が終わってようやく帰宅する頃には、脳も肉体も消耗しきっています。そんなフラフラな状態の子どもに宿題を課し、家でもさらに何時間も勉強させようとするなんて、本当にひどい話なのです。子どもたちはさらに疲弊し、勉強が一層嫌いになってしまいます。」と京都大学大学院エネルギー科学研究科修了の人物が、自分の著書を売ろうと声高に言うのです。・・・・???この著者は京都大学に行くのに小学生からどんだけ~勉強してきたのでしょうか?一般的に考えてもかなりレベルの高い高学歴なエリートです。頭の明晰な人が何言っているの??と港北学館代表で、さらに平々凡々の凡人代表の私が言います。私はよく生徒に話しています。「成績を上げるために当学館は何も難しいことはしていないよ。ほんの一部の人以外は、みんな能力は同じだから、(勉強を)やればだれでも成績は上がるよ!そのためには宿題を絶対に忘れない事。忘れても正直に報告すること。自分に正直に、他人に素直に!塾の勉強だけでは絶対的に時間が足りないから、家で宿題をやって欲しい。ただそれだけ、勉強の復習は家ですること。これが基本!」と言い続けて40年以上、確実に一人一人の生徒の成績を伸ばしてきました!

確かにWindowsのビルゲイツ、Amazonのジェフ・ベゾス、Googleのラリー・ペイジ、日本では将棋の藤井翔太氏などは、あの有名なモンテッソーリ教育(高額な教育費が必要)を受けて人たちです。「本人の自主性を重んじ、本人の興味・関心を最大限に生かす教育」で「他人から与えられた宿題」などない教育で育った人たちです。しかし、彼らはもともと知的で裕福な家庭に育った人たちなのです。よく日本の教育や社会の有り様を批判して、欧米化を推奨する人たちがいますが、私はこのような意見には反対です。個々の能力を延ばすことも大切ですが、世の中の人々が安全で、安心して暮らせる社会をつくることが最も重要だと考えます。そうでなければ(発展途上の国々のように)勉学もままなりません。

先日、ユニクロの創始者の柳井氏が「日本は滅びる」「移民を受け入れ、知的労働者を増やし、少数精鋭で働け」と言いました。それを受けてZOZOの創始者前沢友作氏がTwitterで「僕はなんだか逆のように感じます。日本らしさ日本人らしさが今後の国力の鍵になる気がしていて、それを薄めてしまうような、グローバリズムに迎合して自らその渦に飲み込まれてしまうような考えには違和感があります。薄めるのではなく、日本は日本人らしさを活かして連帯してもっともっと濃い国になっていくべきだかと思いました。」さらに、「日本に今一番必要なものは自信だと思います。俺たちの国いいだろう?って言う自信」「僕はめちゃくちゃいい国だと思うんですけどね。人も風土も文化も素晴らしいなと。ほんと大好き」続いて「移民で労働人口を増やそうとする前に、日本人の労働生産性を諦めたくない。日本人の底力はこんなもんじゃない。もっとやれるはず。政治にも経営にも信とか政みたいなリーダーシップが必要。」と…私はこの考えに大賛成です。「日本らしさ、日本人らしさ」を大切にする。海外のグローバリゼーションをうのみにしない。日本人、日本の自然環境、日本の文化を大切にし、そして育み、自分(自国)に自信をもつこと。これらすべての根本は、やはり日本の教育にあると感じています。

今年の7月・8月に日本に来た外国人旅行者が300万人を超え過去最多を更新しました。この現象は、円安や海外の物価高の影響もありますが、それよりもやはり日本のすばらしさを世界中の人が認めたことの証だと思っています。日本の素晴らしさとは、食文化、四季折々の自然、伝統的な文化だけではなく、やはり一番は「安全・安心・清潔」でしょう。これらはまさに前沢社長の言うような「日本らしさ」「日本人らしさ」なのです。そして、このような日本人を形成している土台が日本の教育なのです。モンテッソーリ教育では個の才能は伸びるが、協調性や調和性は育まれません。ここに大きな差ができるのです。海外の教育では集団よりも個の成長を強調しすぎるきらいがあります。

「経済の衰退」「文化の劣化」「学力の低下」などと海外と比較されますが、果たしてそうでしょうか?日本から発信して世界中に広がったものが数多くあります。例えば、ノートパソコン、世界で最初に創ったのは東芝です。CD、QRコード、カラオケ、和牛などなど世界中に日本の発明や文化があふれています。特にアニメやゲームソフトは世界を席巻していると思いませんか?産業を支える自動車・工作機械や家電製品だけが輸出品ではありません。スポーツの世界でも、ケイリン、スケートボード、ボルダリング、ブレイクダンスなどなど新しいスポーツの世界でも日本人が活躍しています。日本人は捨てたものではありません。前沢社長が言うようにみんながもっともっと自信をもっていいと思います。

話を戻しますが、その根底にあるのが日本の教育なのです。「宿題」をこなす教育文化を大切にしたいと思います。「宿題」を教師からの押し付け、つまり強制的にやらせる受け身の(受動的な)勉強と考える人がいますが、私は違うと思います。宿題はまず家でやるべきもので、いつやるか(時間・日程)など自分で判断しなければなりません。そして、やるもやらぬも本人のやる気と自主性が重んじられます。その意味においては能動的な働きなのです。次に宿題は常に出されます。教師側とすれば数十人の生徒相手に、授業だけで定着が難しいので宿題で授業の定着を図ります。ここにおいては、継続性が必要で、生徒一人一人の我慢強さや忍耐力が必要となります。簡単に言えば「真面目さ」が定着のカギとなります。不真面目で宿題をやらない子はどんどんわからなくなり、当たり前ですが成績や理解度は下がります。これらの生徒の底上げをどうするかが教育機関の永遠の課題なのです。みんなが同時に、真面目に宿題をこなし、学力が向上すれば、社会全体の底上げになり、経済的にも、政治的にも、社会的にも日本が発展すると考えますが、現実は難しいのです。不登校が大量に発生し、引きこもり(ニート)も子供から大人まで20万~40万人存在します。住所不定無職の人たちの犯罪も増えてきました。それでも、先に記述したように日本はまだ「日本らしさ」「日本人らしさ」を維持してきたのです。もっと誇りをもって、もっと自信をもっていいと思います。「宿題」を否定する人は教育学者や学校の先生の中にも存在します。実際多くの著書も発売されています。(私も読みました)でも、それはあくまでも勉強のできる子供たちや学習年齢の違いであって、大半がそうではない子どもなのです。大多数の国民の学力の(知識)底上げがあってこそ「日本らしさ」「日本人らしさ」が可能になるのです。「安全・安心・清潔」な国日本は日本全体の知的(道徳)水準が高いからありえるのです。それを形成しているのが日本の学校教育だと思いませんか?それゆえ、教育には多くの投資が必要なのですが、現在は歪んだグローバリゼーションに飲み込まれそうになっているのです。英会話重視の授業、タブレット端末による授業、投資教育などはその典型例です。