資本主義社会の限界(経済封鎖してもロシアの経済が崩壊しない理由)
ロシアでの大統領選挙でプーチン氏が87%と史上最高の得票率で5選を果たした。3人の他の候補者は軒並み3%台、プーチンの圧勝である。選挙前には最大の対抗馬のナワリヌイ氏が獄中で病死、プーチンに反対していた候補者は選挙資格を失った。選挙に勝つためには何でもするプーチンのやり方に反対を唱える市民はいない。いたとしてもすぐに逮捕されたり、消されてしまう。この国には民主主義とか、人権尊重、人の命が大切という概念がない、もちろん言論の自由などありえない。こんな国を世界は許容してよいのか?北朝鮮より質が悪いと思うのは私だけか?この国は国際連合の常任理事国なのである。拒否権を持っている世界の安全と平和をリードする国なのである。第二次世界大戦前の、国際連盟に非常に酷似している。もし、ロシアや中国(中華人民共和国)が国際連合を脱退したら、まさに第三次世界大戦になる可能性が高い。ロシア・中国・北朝鮮VS連合国(西側諸国)
第二次世界大戦の直前には、ドイツの東欧侵略や日本の中国侵略によって国際連盟が形骸化した。そして、連合国VSドイツ・日本・イタリア(枢軸国)という対立図をつくった。当時は植民地争奪戦という構図から、民主主義国家VS軍国主義国家という構図に変化したレッテルを張られた。今回は民主主義風恐怖政治国家VS西側的民主主義・自由主義国家という構図になりそうである。西側諸国はロシアのウクライナ侵攻で一応は経済制裁をしているが、抜け穴だらけで一向に効き目がないようである。資源(石油や天然ガスの産出国)大国であることがその最大の要因であるが、日本を含む西側諸国の中途半端な経済制裁がロシアの経済を助けているようである。
西欧諸国が経済封鎖や資産凍結、企業撤退などをしているが一向に経済が悪くならないその最大の理由が、ロシアで事業を継続する世界企業の存在である。侵略後完全に撤退した企業は372社、事業停止や撤退中は1572社、継続中などの居残り組は1641社にのぼる。残念ながらその中に日本企業79社も含まれる。リストを見ると、JT(日本たばこ産業)、コマツ、日本郵船、日立造船、凸版印刷、エーザイ、ブラザー工業、日本通運、トーヨータイヤ、クラレ、住友電気、博報堂、ユニ・チャーム…とテレビの宣伝でおなじみの著名企業が続々並ぶ、なんと、スタジオジブリの名前まである。ロシアの侵略を毎日ニュースで放送しているテレビ局に堂々と広告を掲載しているのです。アメリカやイギリスの二枚舌外交を批判する前に自国の大企業も同じ状態であるという事実を認識すべきである。有事の時に資源の乏しい国の現実を直視しなければならないのも、今回の事件で明確になった。というよりもあの太平洋戦争でABCD包囲網という経済封鎖で苦い経験をしたにもかかわらず、日本政府は何も経験から得ていないことが露呈した形だ。特に天然ガスは輸入の1割、電力供給の3%をロシアに依存する。日本政府も商社2社(三井物産、三菱商事)の権益維持(サハリン2…天然ガス共同開発)支持を表明した。これに関連している企業は、伊藤忠商事、東京電力、東京ガス、大阪ガス、広島ガス、東邦ガス、JOGMECなど13の日本企業だ。
「脱ロシア」を謳いながらも、ドイツなどEU諸国は未だにロシア産資源に依存している。日本だけではない。さらにアメリカのJPモルガン、ドイツのアリアンツ、日本のみずほ銀行など、西側金融機関も多く居残りをしている。資源や金融などの重要分野の「非友好国」企業についてはプーチン大統領の許可なく撤退することが禁止され、撤退コストもロシア政府のよって吊り上げられている現状である。後れを取った企業は撤退を躊躇せざる負えない状況を創り出されてしまった。これが戦争の実態である。今となっては、出たくてもコスト高になって撤退できない。利益中心の企業マインドが撤退の判断を遅らせた。医薬品などは人道的な見地から制裁の対象外となっているため、113社が事業を継続している。エーザイ、参天製薬、ニプロなど日本の企業も含まれる。しかし、ウクライナの罪のない一般の多くの人々がミサイルなどの兵器の犠牲になって傷ついているのに、ロシア国内の負傷兵を助けている現実をどう考えればいいのだろうか?これではロシア国内で反戦的な厭戦気分など生まれようがない。
戦争は、人道的な支援や救済など関係ないのである。国際赤十字や国際連合などは、烏合の衆で何の役にも立っていない。人道的を掲げるなら、広島に原子爆弾は落ちないはずである。世界は「勝てば官軍負ければ賊軍」なのである。イスラエルによるガザ地区のハマス掃討も民間人を巻き込むことも覚悟のうえで自分たちの主義主張を推し進めている。人道的なことは二の次なのである。
2つの戦争を通じて、資本主義社会の限界が見えてきたような気がする。だからと言ってマルクス主義の社会主義社会を擁護するわけではないが、自由競争による私利私欲(企業利益中心の考え)を最大の目的とする資本主義社会では、国際社会において戦争を止めることすらできないのである。経済制裁とは名ばかりで、多くの一般の国民がどちらも(加害者側も被害者側も)犠牲になるのだ。西側諸国が自由競争という名の下で今まで行ってきた資本主義経済による帝国主義が今世界中で問われようとしています。反アメリカを掲げる南米でも、中東でも、そして、アフリカ諸国も中国やロシア側につく国々が増えているのが現状です。では、日本の立ち位置はどうなるのでしょうか?難しい舵取りが要求されますが、旧態依然の政治家や官僚がいるかぎりアメリカに吸収されてしまいそうですね。