岸田氏勝利が意味するもの

まだまだ続く安倍前総理への忖度

全国の党員に人気のあった石破氏や河野氏が落選し、岸田氏が次期総裁に選ばれました。私は正直どちらでもよいのですが、安倍氏や麻生氏の存在がまた勢力を持つことに残念でしかたがありません。これでまたまた森友学園や加計学園、桜を見る会、伊藤詩織さんの準強姦罪の追求、河井夫妻への政党助成金の1億5千万円の行方など、麻生・安倍がらみの諸問題はまたまた闇の中に埋没しました。だれがみてもどう考えても明らかなウソまみれの問題が法律という天下の宝刀ですべてが不起訴処分または自民党内部によって証明済み、解決済みになりました。多くの論客がいろいろなことを述べて河野降ろしなどネガティブキャンペーンをして、世論を巻き込みました。そして、自由民主党の国会議員たちが「長い物には巻かれろ」感覚で多勢が決まりました。

高橋洋一・広中平蔵VS三橋貴明・藤井聡らの意見がそれなりに影響を与えたかもしれません。政治家と学者と官僚の関係があまりにも複雑すぎて訳が分からなくなりました。彼らの言動を見ていると、常に数字ありきで、財政も、コロナ対策も、景気対策も、日銀の動きも、すべてが数字を中心に考えが及んでいる気がします。私は数字に弱いのでそう考えるのかもしれません。経済優先の政策論争に彼らは動いているように見えて仕方がありません。新自由主義の転換だとか、緊縮財政から財政拡大路線とか、プライマリーバランスの撤廃だとかもうわけが分かりません。所得倍増計画(中国でも最近習近平氏が述べていましたね)、60年代の池田内閣でも述べていた国民がわくわくするような夢物語を岸田氏や高市氏が言えば、それに追随する議員たちやそれを支持する学者たちがこぞって賛成に回りました。

しかし、私が一番危惧しているのは日本の経済情勢ではなく、安倍氏以降の日本の政治では「正義が通らない」という倫理に関することです。公務員の内閣への「忖度」を作り出し、三権分立の勢力関係も歪め、旧来の憲法解釈をないがしろにして、正義を守り、不正を明らかにする警察・検察すらも安倍氏に忖度させたことです。その一例がまたまた公務員人事に反映されました。それは全国30万人を数える警察職員の頂点、警察庁長官に中村格(いたる)氏が昇進したことです。次長時代、森友学園の件、河井夫妻の政治資金規正法の件、伊藤詩織氏への準強姦罪事件の件を次々に握りつぶした(不起訴処分にした)人物です。こんな人物が日本の警察の頂点にいるのです。そして、安倍晋三を守っているのです。一般国民はかないませんね!警察権力をも握っているのですから。

先に述べた、いろいろな学者はそんなことは小さなことだと思っているのかもしれませんね。経済のことだけを考えていて、政治のことや国民感情のことなどどうでもいいのかもしれません。政治とはそもそも(税金を払う)主権者である国民の安全と安心を守るもので、一部の権力者(上級国民)守るものではなかったはずです。

少し話は飛びますが、靖国神社問題で、「日本のために戦ってくれた英霊に、日本の代表としてお参りすることに、なぜ諸外国からとやかく言われなければならないのか」と毎年参拝を行事にしている政治家(高市早苗氏ら)や東京裁判は間違っているとか、太平洋戦争はアメリカに誘導されたとか、日本の戦争責任を他人転嫁する学者もインターネットの世界ではたくさんいますが、あの戦争はどうみてもそのいきさつはどうであれ日本が(日本の指導者)当時起こしたことは紛れもない事実なのです。さらには、原爆を落とされるまで降伏せず、沖縄を犠牲にし、特攻や回天(人間魚雷)など非人道的な作戦を実行したのは明らかに日本の指導者たちなのです。この事実を政治家(特に二世・三世議員・政治屋家族…祖父がA級戦犯かも)たちや学者はどう感じているのだろか?多くの国民が為政者のために犠牲になったという事実は消せないのです。日本の歴史では「菅原道真」のように出世の道を断たれた人の呪いを防ぐために、神様として崇め奉る感覚があるように、A級戦犯で死刑判決を受けた方を崇め奉るのでしょうか?

私は安倍晋三という人間が嫌いとかではなく、間違いや失敗はだれにでもあることなので、もし、誤っていたと感じているのなら責任をきちんととればよかったのです。「責任をとらない政治」では国民は納得しないはずです。先の戦争で敗戦を導いた指導者たちは東京裁判で死刑判決を受けました。私は当然だと思いますし、その指導者を崇めるなどもってのほかだと感じています。あのユダヤ人虐殺をしたドイツのヒトラーを崇めるヨーロッパ人はいるでしょうか?西郷隆盛は負け戦だとわかっていても、西南戦争の責任をとって自害をしたのです。そんな政治家が今の日本には誰一人として現れないのが残念でなりません。

岸田氏でも、高市氏でも、河野氏でも、石破氏でも誰でも構いません。正義感のある、不正を許さない、大岡裁きができる、国民に向き合ってくれる政治家になってください。

権力をもつ指導者は常に責任を伴うのです。不正を働いて責任を取らない指導者や目的のためなら手段を選ばない倫理観のない指導者は政治の世界から消えるべきです。結局今回の総裁選は改革派?の河野氏(石破・小泉氏側)を絶対に総裁にさせたくない(自分の悪行を暴かれたくない)安倍氏の暗躍(高市氏をたて、票を分断し、決戦投票に持ち込む政策)で勝利を収めた安倍劇場でした。

PS:なぜ私が日本の政治についてとやかく意見を言うのかというと、実際、社会の授業をしているからです。その中で現在の政治と教科書の内容との矛盾が数多く存在するようになったからです。さらに、教科書も(文部科学省の意向かもしれませんが)、政府や経済界に都合が悪いことは、教科書から削除されつつあります。正直、つまらない教科書になってきました。これでは、学者の意向が反映されない教科書が教科書検定を通過することになるのです。何のために?誰のために?せめて義務教育の教科書は世の中に出てすぐに役に立つものでなければ意味がありません。