いわゆる「定期テスト」を廃止した学校への塾の先生からの感想
茨城県神栖市の県立波崎柳川高校では、今年度から「中間」「期末」といった定期テストを廃止し、単元ごとのテストや日頃の授業に取り組む姿勢などで評価する方法に切り替えた。それにより生徒の学習意欲や理解度が高まり、教員たちの働き方改革にもつながるという。
記事では良いことばかりが記載されていたが、私はまったく馬鹿げた改革だと思う。
生徒たちのレベルにもよるが、まず、単元別テストで成績がよくても、総合力になると格段に成績が下がる子が普通であるということ。つまり、単元別テストでは範囲が狭く、同じ領域の内容なので応用力を試す事は出来ないのです。勉強で一番大切なのは、いろいろな知識をどのように組み合わせて問題を解決していくかということです。単元別テストや小テストでは応用力が図れないこと、知識の積み重ねが難しいことです。勉強のできない、苦手な子どもにとってはその場の成績が上がるのが目に見えるのでやりがいのある方法ですが、これでは実力も応用力もまったくつきません。私が家庭教師や個別指導またはAIを使ったオンライン授業また、タブレットを使用した授業をあまりお勧めしないのがこのような状況を生みやすい教育環境になるからです。その場の授業や知識の確認では満足のいく結果がえられるけれども、いざ学校の定期テストや入試、模擬試験になるとまったく手も足も出なくなる子どもがいるからです。このような授業形態は先生や生徒の自己満足でしかありません。よって残念な結果になるのです。教えることはどんなものでもそうですが、例えばスポーツでも同じことが起こります。サッカーで基本的な動きを教えても、試合で生かされなければ、練習のための練習となってしまします。ボールをける。止める。走る。の個別の練習だけをしても上手な選手になりません。試合にその技術が生かされなければ無意味なのです。ですから、常にゲームを通して体の動きを楽しさ悔しさの中で身につけなければなりません。つまり、基本から応用はゲームの中でしか完成しないのです。
勉強も同じなのです。基本だけ暗記しても、総合力は生まれません。総合力つまり実力は本番の試験を通して培われるものなのです。ですから、今まで学校では年間に4回とか5回とか定期テストをするのです。レベルの高い学校ではほとんどが2期制で、試験は年2回しかありません。もちろん試験範囲が広がり、実力・応用力が試されるからこのような形態にしているのです。大学受験や各種試験もそのようにして模擬試験なるものが存在しているのです。私にしてみれば、単元別テストや小テストで勉強をした気にさせることも大切ですが、それだけではごまかしにすぎません。これは教える先生・教師たちの怠慢でしかありません。非常に楽な授業の仕方であり、評価の仕方です。それに高校生にもなって、提出物とか生活態度とかで高等教育の評価を行うこと事態違和感があります。高校生を大人として認めていない上から目線の発想です。高校生の勉強は、まず、大学へ進学するのか、専門学校へ行くのか、就職活動をするのかの進路の選択から内容を判断しなければなりません。そこを踏まえた勉強でなければ、まったく無意味になります。このようなことは塾の先生や多くの進学校では当たり前のことです。なぜ、そのような教育をするのかよくわかりません。高等学校は本来高等教育をする場所なのです。人間形成の場は義務教育で終わり、高等教育は将来を決める勉強に専念するべきです。その方法論として「定期テスト・宿題の廃止」は、無意味な選択だと言わざるをえません。しかし、現実はそのような本が出回り、共感を得ている現実を考えると、公教育の質と現場教師の指導力のなさを痛感します。