子供の教育が危ない②

子どもの教育が危ない! その②

訂正 前回に掲載した「学力が日本一」の小学校は福地村ではなく、秋田県の東成瀬村の小学校でした。ごめんなさい。参考にしたい方は「秋田県東成瀬村のすごい学習法」主婦の友社の本を購入してください。

現在、携帯電話を持っていない大人はほとんどいません。そして、テレビゲームをしたことのない人もほとんどいないのではないでしょうか。現代社会の都会では携帯電話(スマホ)無しでは日常生活ができないところまでデジタルコンテンツが浸透してしてしまいました。世の中が便利になった。世界中の人々の距離が縮まった。グローバル化が成熟した。と多くの人は口々にそう言うでしょう。確かに、外出先で電話をするために公衆電話ボックスを探すこともなくなりました。家を出て買い物に行かなくてもインターネットで様々な商品が購入できます。キャッシュレス化の波も今や都会では普通のことになっています。釣銭のために小銭を用意するということもなくなりつつあります。便利になった。楽になった。面倒が少なくなった。そして、覚えることも少なくなった。スマホにすべての情報を記憶させておけば問題ない。あらゆる調べるための行動が家の中にいて済んでしまう。図書館へ行く必要も、地図を見て調べる必要もなくなりました。デジタルデバイスがすべて人間の行動を楽にしてくれたのです。

そして、日本は先進国からこのデジタル化の波に乗り遅れていると言われています。このコロナ禍においてますますこの状況が顕著になったのではないでしょうか。それは教育の分野のみならず、労働の分野でもヨーロッパに後れを取っていることに気づかされました。労働現場においてはリモートワークやオンライン会議、教育現場ではパソコンやインターネットを利用したオンライン授業などヨーロッパでは当たり前の光景が日本にもやっと侵入してきたのです。お隣の中国や韓国にも先を行かれている現状ではないでしょうか?

今回の本「スマホ脳」はその先進国の中でも早くからデジタルデバイスを教育の中に取り入れ、小学生からタブレット(PC)による教育が日常で展開されている国での話なのです。日本はこの点においては後進国であることは事実です。しかし、それらの先進国で様々な精神疾患や学力の低下を危惧する研究報告が上がってきたのです。次に記載するのはこの本にそのまま記載されているものです。ここでは子供の教育に関連する箇所だけを掲載しました。

 第7章 バカになっていく子供たち

 「うちでは、子供たちがデジタル機器を使う時間を制限している」

                 スティーブン・ジョブズ(アップル社創業者)

子供のスマホ依存

額の奥にある前頭葉は衝動に歯止めをかけ、報酬を先延ばしすることができるが、成熟するのが一番遅いこともわかっている。アルコールは禁止するのに何故スマホは禁止されないのか?若者がドラックやタバコ、無謀な行為を繰り返すのは、この衝動を抑制する能力が完全に成熟していないからだ。そして、これを誘発するドーパミンが一番活発なのはティーンエイジャーなのである。

幼児には向かないタブレット学習

学習という点では教育番組と同じく、学齢期に近い子どもは効果があるようだが、就学前の子供を対象とした研究では、手で、つまり紙とペンで書くという運動能力が、文字を読む能力とも深くかかわっていることが示されている。米国の小児科医の専門誌にも、普通に遊ぶ代わりにタブレット端末やスマホを長時間使っている子供は、のちのち算数や理論科目を学ぶためのに必要な運動技能を習得できないと警告している。さらに、衝動をコントロールする能力を発達させ、何かに注目を定めて社会的に昨日するためには、遊びが必要だとも提言している。問題なのは子供たちが友達と外で遊ばなくなったことだ。

報酬を我慢できなくなる

将来もっと大きな「ごほうび」をもらうために、すぐにもらえる「ごほうび」を我慢するのは非常に重要な能力だ。つまり、自制心は人生の早い段階で現れ、将来性にも関わってくる。よくスマホを使う人の方が衝動的になりやすく、報酬を先延ばしにするのが下手だ。報酬を先延ばしにできなければ、上達に時間がかかるようなことを学べなくなる。

学校でスマホ…敵か味方か

教室にスマホ・タブレットがなければ、子供たちはもっとノートを取るだろう。そして、授業内容の理解も進み、明らかによく覚えていた。タブレットと紙の書籍で読書させても、紙の方がよく覚えていたという研究結果が出ている。これは脳が文章に集中するよりも、報酬がないことを無視するのに貴重な処理能力を費やしてしまい、結果として学びが悪くなるのだ。

スマホ追放で成績がアップ

イギリスの学校でスマホを禁止した結果、学校全体の成績が上がった。特に成績を伸ばしたのは、勉強で苦労していた生徒たちだった。成績上位の生徒たちは、スマホが益になることもあるかもしれないが、それ以外の子供たちにはスマホは害にしかならない。また、睡眠を毎晩9~11時間眠っている子供、運動をしている子供も成績はよかった。

若者はどんどん眠れなくなっている

スクリーンの前にいる時間が長いほど不眠になる。スマホが若者の睡眠不足の大きな原因だというのは間違いなさそうだ。

若者の精神不調が急増している

若者の精神的な不調は世界中で爆発的に広がっている。米国でもうつの診断を受けたティーンエイジャーは7年で6割増えた。スマホやパソコンの前で過ごす時間が長いほど、気分が落ち込む。パソコン、スマホ、タブレット端末を週に10時間以上使うティーンエイジャーがもっとも「幸せでない」と感じている。一方、それ以外の事をする場合、つまり誰かと会ったりスポーツをしたり、楽器を演奏したりすると精神的に元気になる傾向があった。

運動というスマートな対抗策

基本的にすべての知的能力が、運動によって機能を向上させるのだ。集中できるようになるし、記憶力も高まり、ストレスにも強くなる。これが最善の方法と行っても過言ではない。

以上

現代社会には様々な依存症があります。アルコール依存症、薬物依存症、ギャンブル依存症などこれらの多くがやはり脳の中のドーパミンが多量に発生し、興奮状態を呼び起こし、また欲しい、もっとやりたいという欲求を追及し、依存しなければ生きていけないと感じさせるようです。これは子供だけでなく、もちろん大人にも関係してきます。コロナ禍の昨今、若者、特に女性の自殺が世界でも増加傾向にあるのはスマホ依存症=うつ病の発症があると言われています。

簡単にまとめると次のようになります。

①スマホやタブレットなどのデジタル機器は学齢児童になるまでは使用させないこと。衝動を抑えることよりも依存症になる可能性が高くなる。

②学齢児童になっても、度を超すような使用の仕方では集中力の低下を招き、記憶力や空間認識力も衰える。つまり、理系的な思考能力が低下する。簡単な例でいうと、空間図形などの勉強は平面のタブレット学習では不向きだということ。実際に立体を作り、手に触れることで脳が認識する。野外などの自然環境の中で遊ぶ子供の方が家の中でスクリーンで遊ぶ子よりも数学的思考能力がよくなる。

③デジタル機器の使い過ぎ→家の中でいる時間が多い→運動不足→記憶力の低下→集中力の低下→ストレスに対する耐性の低下→衝動的な行動→満足度の低下→睡眠不足→うつ病が発症しやすい→精神疾患へ(順番は適当です。実際は複合的に絡み合っています)

④一番良い対処法は、依存し過ぎないこと、使用時間の制限をすること、運動や他者との遊びをすること、趣味を持つこと、他者と面と向かってコミュニケーションをとること。

ひと昔前まではごく普通のことですが、デジタルデバイスが発明されてここ20年で世の中が大きく変化し、家にいる時間が増えました。インドア派だのアウトドア派などの言葉が生まれましたが、結局のところ私たち人間は動物なのです。脳は生きるための運動をするために存在し、敵から身を守るために最善を尽くすような働きをするのです。人間のドーパミンは敵から逃げる時も獲物を襲う時も脳からたくさん発生するのです。欲望の根源がこのドーパミンなのです。それを自制することで人間社会を私たちは築いてきましたが、現在、その欲望を逆手にとって商売をする人達が大儲けをしているのです。この事実をしっかり認識して子供たちを大人が守るべきだと私は考えています。興味がある方は是非一読してみてください。